2011年11月26日土曜日

オタク文化をかっこ良く ~もしもAppleがOSシェアを独占していたら?~


コンピュータに詳しいとなんだかオタクみたいに思われることがある。
それも当然だろう。ごちゃごちゃしたコードやチップを組み合わせたり、不可解な文字を打ち込んでプログラミングをしたりするなんだかよくわからない。しかも詳しい人にはオタクのような人も多く、そのオタク好みのような製品が多いからである。

しかし、「パーソナル・コンピュータ」を世界で一番初めに普及させた者の考えは違う。彼は「どの家庭にもあるような家電のように、誰にでも使いやすく、誰にでも親しみやすいデザイン」を追求した。その人物はスティーブ・ジョブスだ。



1970年代前半、天才プログラマー、スティーブ・ウォズニアックはテレビ画面に文字を直接入力し、表示させる今のパーソナル・コンピュータの祖となるものを開発した。それは後に「AppleⅠ」と名付けられる。ウォズニアックは当初当時通っていた技術者が集まるクラブで無償配布し、プログラミング・マニアの間で広がっていけば良いと考えていただけだった。

しかし彼の親友であるスティーブ・ジョブスはそれを止め、AppleⅠを元に会社を起業してビジネスにしようと提案。「Apple Computer」を設立。そしてそれは大成功を収める。

続いて、AppleⅡ、Lisa、Macintoshなどを開発。ウォズニアックは技術者として天才で次々と開発していったが、依然「マニアや専門家が喜ぶようなもの」として考えていた。しかしスティーブ・ジョブスは前述の通り、「どの家庭にもあるような家電のように、誰にでも使いやすく、誰にでも親しみやすいデザイン」というコンセプトを譲らなかった。それは何たるものかをとことん探求し、百貨店メイシーズを歩きまわって家電のデザインを参考にコンピュータを形作っていた。

結果、コンピュータの普及は一般の家庭にも広く及んだ。



だが、スティーブ・ジョブスのAppleは常に順風満帆ではない。Macintoshで進めていた「GIF(グラフィカル・インター・フェイス)」の技術・アイディアを、当時提携していたビル・ゲイツ率いるマイクロソフトに持ち出され、Macintoshより先にWindowsを発表。Windowsは徐々に勢力を広げ、PCのほとんどはWindowsが占め、現在に至るようになった。



ところで、ビル・ゲイツはジョブスのように「誰にでも親しみやすい」を追求したのだろうか。
ジョブスは言う。「マイクロソフトが抱えている問題はただ一つ、美的感覚がないことだ。足りないんじゃない。ないんだ。」
私も同感である。Appleが生み出すコンピュータはどれもかっこよく、細部までこだわりが感じられる。最近のAir Macなどは「どこにおいてあっても違和感のないデザイン」に仕上がっている。それに比べ、ウィンドウズは最近になって少しデザインに力を入れているように感じるものの、「誰にでも親しみやすい」とは言えないものが多い。

長くパーソナルコンピュータの世界ではWindowsがその地位を独占している。しかしそのような世界には、ジョブスが言うように「美的感覚がない。」。結果、PCといえば「オタクが大好きなもの」というイメージが世間に定着してしまった。



もしもWindowsに先をこされることなく、AppleがPC市場を独占していたら。今のオタクはもう少しかっこよく思われていたかもしれない。