2011年1月30日日曜日

李忠成の栄光

昨晩アジアカップ決勝。冬の夜となっても20度という中東ならではの気候の中、緊迫した時間が過ぎていく。

フィールドで戦う選手達を見れば、その身長差は明らかだった。巨兵豪州の大きな壁が日本の選手たちに立ち、苦戦を強いる。

オーストラリアにはここ最近、PKでしか勝ったことがなかった。

展開は延長線に入り、またもPK戦に縺れ込むのか。

そんな中、一人の選手がベンチからフィールドに入ってきた。サンフレッチェ広島の李忠成選手だ。

彼は在日韓国人だったが、「在日韓国人の可能性を示したい。」と日本代表入りを希望して2006年に帰化。親戚からの猛反対の中、母親から「親戚中から縁を切られても私たちはいいから自分の思うようにしなさい」と言われて決意した。北京オリンピックに日本代表として出場。アジア予選で2得点を挙げた。

今回のヨルダン戦が国際Aマッチ初出場だ。
そして決勝の延長戦、ついにチャンスが訪れた。

「ヒーローになる、ヒーローになる。」

ずっとそう言い聞かせてピッチにかけ込んだ。

延長後半4分。長友の左クロスを、美しい左足ボレーでコールネットを揺らした。
ヒーローになった瞬間だった。

日本は優勝し、アジア大会4度目、史上最多の優勝となった。

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この活躍を、中央日報はこのように報じている。

李忠成がやり遂げた。

在日同胞で日本サッカー代表チームの李忠成は30日(韓国時間)にカタール・ドーハで開かれたアジアカップ決勝戦対豪州戦で、延長戦後半に値千金の決勝ゴールを決め日本を優勝に導いた。

延長前半に投入され最前方に就いた李忠成は、延長後半4分、長友の左クロスを左ダイレクトシュートにつないで決勝ゴールを決めた。決勝戦前まで1失点にすぎなかった豪州のGKシュウォーツァーも身動きできずにやられてしまった。李忠成は自身を選んだザッケローニ監督に走り寄り厚い抱擁を交わした。国際Aマッチ2試合目で入れたデビューゴールだ。

読んでみてわかると思うが、この記事に賛否両論の声があり、ハングル語版は非常に大賑わいしているそうだ。

私も海外で生活した経験があるので多少理解できる。その国の在住外国人は、祖国とのナショナリズムとの間に苦しむこととなるのだ。

「祖国は大切。しかし長く暮らすこの国も好きだ。」

そんな在住外国人は多いはずである。おそらく李忠成もその一人だろう。しかし、そのような人々に各国の人々は

「おまえは○○人だろ!」「おまえは○○で生まれ育ったのではないのか。」

と言って何方か一方に所属するよう強制する。外国人に対して排他的な感情を持つ人が多いこの国ではそのような人々が少なからずいるのは事実である。


祖国を大切にすることは良い事だ。しかし、それが排他的感情を助長するようなことになってはならない。


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