2009年1月30日金曜日

変な国 NIPPON (1) 議論もねじれ国会、一院制へ。

(写真:国会議事堂 wikipedia)
日本は他の国と比べて変な国だ。
外国人からみればなんでこんな習慣や制度があるのだろうと疑問を持つという声も聞く。
日本は一体どんな国でどんな問題があるのか浮き彫りにしていきたい。

今回は議論もねじれる(捩る=頓挫する)国会について。


米国は今議会と74兆円規模の景気対策法案可決にむけて協議中だが、オバマ大統領の70%を超す高い支持率を背景に迅速な政策運営を行っている。

中東からスパイ容疑で強制的に連れてこられ尋問されていたグアンタナモ基地は就任した直後に閉鎖してしまった。グアンタナモは人権を無視して脅迫することで知られ、内外から大きな批判が相次いでいた。映画「グアンタナモ、僕達が見た真実」にその残虐性が描かれている。私はこの映画を見て目を疑った。


日本はどうだ?ねじれ国会が始まって政策より政局が優先され、政治が一向に進んでいる事が感じられない。むしろ混乱する一方だ。
日銀総裁等の国会同意人事は遅れ、インド洋の自衛隊は一時退去し、ガソリンは短期間で1リットルあたり25.1円の税が上下した。経済効果の薄い定額給付金をめぐって長々と議論が続き、いったいいつ配られるのかも明確ではない。
このままでは、日本の政治は国内ばかりか世界から信用されない国となってしまう。

すべての原因は何か。
もちろん政治家自身の問題でもあり、彼らを選んだ我々の問題でもある。
しかし、一番の原因は「ねじれ国会」が引き起こす議会運営だろう。
「ねじれ国会」が原因で議論が停滞する。衆議院の優越を行使することもできるが、参院が議論を否決したとみなす「みなし否決」を行使するにも、60日かかってしまのだ。
もちろんねじれ国会にもメリットはある。参議院議長など重要な役職を野党から選出することができ、与党の独走を牽制・抑制することができる。多くの議席をもつ野党が同意しなければ否決されるのは当然であり、これぞ民主主義たるものだということだ。
しかし私は今まできちんと参議院が機能していたかは疑問に思わざるを得ない。参議院「初」という言葉をよく耳にする。ただ形式的に法案を審議し、大部分を衆議院で可決した法案を通すだけではなかっただろうか。


この「ねじれ国会」を解決する道は次の3つ。
1.衆議院解散総選挙
2.自民党と民主党の大連立
3.一院制への移行

1.衆議院解散総選挙
現実性はこれが一番高いだろう。
衆議院解散総選挙を行い、今の世論調査通り民主党が衆議院で過半数を占めれば、民主党は衆参両院で主導権を握ることができる。そうすれば今のねじれ国会が解消されるが、自民党が勝ち、再び衆参ねじれ国会が起きる可能性も否定できない。

2.自民党と民主党の大連立
今すぐにでもできるし、総選挙で再びねじれ国会となった場合に考えられる策である。
ただ、今まで与党第1党だった自民党と野党第1党だった民主党が一緒になって仲良く政府を運営できるだろうか疑問がのこる。
しかし、私は民主党が政権を担えば自民党とさしてそこまで変わらぬ政権運営を行うのではないかと思うので、政策面でのずれはそこまでおきないだろう。これはあくまで私の憶測だ。

3.一院制への移行
私はこれが一番良いと思う。やろうと思えば今すぐにでも実行できるし多くの利点があるからだ。
まず、人件費の歳出カット。国会議員の数を減らすこと、国会を運営する費用も半減することを考えれば大きく財政を改善できると思う。700兆円を超す借金を持つ日本は少しでも歳出をカットしなければならない。
次に、議論の迅速性。今のようなねじれ国会となり議会運営が滞ることもなく、しかも1院だけなので議論もスムーズに行くことだろう。日本の政治は行動が遅いと思えば大きなアドバンテージだ。
先ほども言ったとおり、今でこそ二院制が機能しているが、従来あまり機能していない。このように議論を停滞させ、日本の経済成長を阻害するような政治災害を引き起こすくらいならばいっそのこと一院制にすべきでないか。
私はこの案に一番のメリットを感じる。


世界に再び認められる日本を作るためには、迅速な政策運営が必要不可欠だ。


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2009年1月11日日曜日

アメリカは日本の親友か?

写真:TAKENOKO編集(日本と米国)
日本にとって最大の同盟国アメリカ。
オバマ次期政権になってもこの関係は続くのか。
米政権の対日政策はどう行うのか。


先日、知日派のナイ・ハーバード大教授を駐日大使に、キャンベル元国防副次官補を北朝鮮を担当していたヒル国務次官補の後任に打診したと報じられた。

日本経済新聞は以下のように報じる。
「日本がかかわるポストに知日派を起用するのが特徴だ。北朝鮮のテロ支援国指定の解除などを巡りさざ波が立った日米関係を悪化させないため、人事を通じて対日重視姿勢を鮮明にした格好だ。」

このようにあたかも日本重視と捉えることができるような感じであるが、実際今の米政権は日本をどう捉えているのだろうか。


ゼーリック元米国務副長官は「アジアの真のパートナーは中国だ」と言っていた。
日本が国連安全保障理事会の常任理事国にさせて欲しいなどと要求ばかりして、特に国際安全保障問題においてあまり貢献できていないから当然だろう。

1.国連の平和維持活動(PKO)に従事している日本人は四十人しかいない。中国は二千人。
2.ソマリアの海賊問題では中国やマレーシアが艦隊を送っているのに、日本はまだ何もしていない。自民・公明両党は海賊対策についてのプロジェクトチームを発足させているが武器使用などについて調整に時間がかかり、いつ法案は可決するのだろうか。
3.インド洋における給油法案も1年間の時限立法。日本が安全保障問題に取り組むことができる数少ない活動だというのにも関わらず、世界に積極的な姿勢を見せることができない。

これでは日本は世界の安全保障問題に対して「背を向けている」と思われているのもしょうがない。
米政権が懸念するのはこうした日本の姿勢だ。自分はゼーリック国務長官の言葉を真剣に受け止めるべきだと思う。


問題の本質は、オバマ次期政権が対日政策をどう行うかではない。日本が米国とどう接していくかだ。


日米同盟は日本が米国にすがりよっている感がある。米国の顔色を常に窺っている。だから日米同盟においてリーダシップを発揮できない。しかしいつまでたってもこの姿勢を保っていてはだめだ。
オバマ次期大統領は日本にチャンスを与えた。特に知日派の重鎮であるナイ氏を駐日米大使に打診したことは大きい。日本が関わる閣僚人事は知日派が多数を占めているということはそれだけ日本に対して期待をしているし、日本に対して理解してくれるだろう。そういう意味で日本の今後の対米政策がより一層重要となってくる。


では日本はどうすればよいか。日本経済新聞の経済教室で東京大学教授の北岡伸一氏は以下のように述べた。
「日本の問題は、必ずしもねじれ国会のせいではない。野党が反対してできないということは、世界のどの国も理解する。しかし、いくつかの問題は野党のせいではない。たとえばインド洋における給油は、なぜ一年の時限立法なのか。連立与党への配慮のためではないか。もっと政府開発援助(ODA)を増やせないのは財務省の反対のせいではないか。平和維持活動にもっと参加できないのは、自衛隊や警察や内閣法制局のせいではないのか。四五年以来の大転換に遭遇しているのに、政府一丸となった必死の努力が見られないのである。」

自分もその通りだと思う。そろそろ日本も国際社会に対して目を向けないといけない。
しかし問題はその方策だ。北岡氏は続けて以下の方策を提案した。

安全保障面で日本に求められる方策   
1.集団的自衛権に関する解釈の見直し
2.インド洋での海自給油活動の継続、ISAF参加の検討
3.アフガニスタンの麻薬撲滅協力
4.イラン問題の仲介
5.国連平和維持活動への積極参加


しかし、過度の安全保障政策への関与はできない。
軍事的な面を含んだ外交政策は日本において望ましくないだろう。
日本は憲法第9条があるように世界に類をみない平和主義国家だ。この精神は失ってはいけないし、国民も大多数がこのように感じている。


それでは何を行うべきか。
「ソフト・パワー」という概念がある。軍事力や経済制裁など物理的・経済的な力を示すハードパワーに対応する、文化や価値観、国際交流など非物理的な力を通じて行使する影響力を指す言葉だ。
日本はアフガニスタンに対して軍事的に深く安全保障問題に関与はできない。しかし現駐日米大使シーファーの言うように、日本は医療、行政、衛生管理などで協力できる。そのために自衛隊を送る必要はない。民間で十分できる。幸運なことに、このソフトパワーの提唱者はなんとナイ氏だ。


日本はまだ、世界システムの中で指導的な立場にあるとは言えない。それが日本にとって、これからの課題となるだろう。」米戦略国際問題研究所ジョン・ハムレ氏はこのように述べた。国際社会に対して背を向けず、積極的に参加していけばアメリカの日本に対する懸念も少なくなり、日米関係もより良好なものとなっていくだろう。


ナイ氏をはじめとする知日派を中心とした対日人事は日本にとってチャンスだ。しかしこのチャンスを活かさなければ意味がない。
"It is only the chance for us to make that change"
「(この勝利は)我々が変化を起こすためのチャンスにすぎないのです。」
オバマ氏は大統領に当選したときの勝利演説でこう述べ、米国の変革を約束した。


日本も変革の時である。
"Yes, we can"

(参考文献)
日本経済新聞
特集――多国間主義で秩序安定、米戦略国際問題研究所ジョン・ハムレ氏(世界を語る)
2008/08/02, 日本経済新聞 朝刊, 11ページ
特集――同盟、政争の具にするな、駐日米大使シーファー氏(世界を語る)
2009/01/10, 日本経済新聞 朝刊, 9ページ
駐日米大使、ナイ氏に打診、対日重視、人事で示す、北朝鮮ポスト新設も検討。
2009/01/09, 日本経済新聞 朝刊, 3ページ
第1部サバイバビリティ(4)岡本アソシエイツ代表岡本行夫氏(世界この先)
2009/01/05, 日本経済新聞 朝刊, 3ページ
米次期政権と日本の対応(上)大転換期、共同で乗り切れ、東大北岡伸一氏(経済教室)
2008/11/11, 日本経済新聞 朝刊, 29ページ

中央日報
オバマ次期政権、日本との密着外交を予告
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=109801&servcode=A00&sectcode=A00

毎日新聞
アメリカよ・新ニッポン論:金融危機 試される日米同盟
http://mainichi.jp/select/world/news/20090101ddm002020013000c.html

2009年1月7日水曜日

政治災害

“給付金 国会議員も受給を”

6日に政府・与党連絡会議で、細田自民党幹事長は「景気対策として支給されるので、国会議員も辞退せずに受け取って使うべきだ」と述べた。これに対応して北側公明党も「定額給付金は国民が払った払った税金を戻すもの。堂々と使うべき」だと述べた。

麻生総理は昨年12月、国会の答弁で「多額のカネをもらっていて『1万2千円をちょうだい』というのはさもしい。人間の矜持の問題だ」と述べたばかりだ。与党はこの考えに同感しているわけではなかったのだろうか。

麻生総理はその日の夜の記者会見で細田氏の発言について「個人、それぞれ個人にくるものを、政府がとか、党が使え、使うな、もらえとか、もらうなとかすべき種類のもんですかね」と述べ、自身が受け取るか受け取らないかは「その時になって判断」するとし、総理自身が受け取る可能性があることを示唆した。12月の国会答弁とは大きく異なる。あそこまで強く受け取らないような発言をしていたのに今になって大きく姿勢が変わった。

いったいなぜこのようなことになったのだろうか。
きっと地方自治体がその事務手続きの煩雑さに対して不満をこぼしている事に対して対応したのだろう。定額給付金に所得制限を設けるか設けないかで事務の手間が省けるからだ。
しかし、こんなことを言えば批判されるのは当然である。細田氏は予想できなかったのだろう。
麻生総理も細田氏の意見に同調するかのごとく発言を切り替え、いつものことながら一貫性を欠いている。よくここまで発言を右顧左眄できるものだ。これで国民の信頼を手に入れることができると思っているのだろうか。

これらの発言がもとでまた国会ではくだらない議論が始まる。
定額給付金を議員が受け取るか受け取らないかだなんて実際どちらでもいい。
それ以上に今話し合うべきことがたくさんあるではないか。

「年越し派遣村」。国の雇用対策では遅すぎるので、このような援助運動が起きた。
多くの人が食べ物をここに運び、職を失い路頭に迷う人々は嬉しそうにお雑煮を食べていた。
本来国が行うべき雇用対策が進んでいればここに助けを求めてくる人々は少なかったはずだ。
辻本清美議員がこの派遣村を「政治災害だ」というのも無理はない。

この国はいったい何を目指して動いているのか。
やるべきことはたくさんある。そのすべては無理かもしれないができる限りのことはするべきだ。しかし今の政府はそれすらできず、やるべきでないことばかりやる。

このままでは政治により不況がさらに深刻化してしまう。
これを阻止する方法は2つ。

1. 与野党が協力し、早急に二次補正予算を成立させ経済・雇用対策を行う。
2. 衆議院を解散し、早急に二次補正予算を成立させ経済・雇用対策を行う。

しかし、どちらも今の政治情勢では実現しそうにない。
米国では次期大統領への「Change」に胸を膨らませており、政治への期待が大きい。
それに比べ、日本の政治への期待はどうだろうか。

何度も言うが、このような政治を選んでいるのは我々国民である。
今こそしっかり日本の政治について考えるべきだ。


定額給付金は「消費刺激策」1月6日夜 (毎日新聞)
“給付金 国会議員も受給を”(NHK)
代表質問 対決だけでなく協調も必要だ (1月7日付・読売社説)
日本経済新聞1月7日(朝刊)
給付金「議院も受け取りを」

2009年1月5日月曜日

フィンランドに学べ

写真:NOKIA本社

サンデープロジェクトの「フィンランドに学べ」という特集を見てフィンランドの仕組みに感動した。

フィンランドは税率がものすごく高いわりに高い福祉などの制度が整う「高負担高福祉」の社会だ。
政府に信頼を置いているからこそなせる制度だろう・・・・社会保険庁などの不祥事が相次ぐ中、日本でこんなことやったらバッシングがすごいだろう。

フィンランドは1996年に国際競争力16位だったが、2001年にはなんと1位に。そしてその後4年間国際競争力を保った。

成功の秘訣は2つ。

まず。ハイテク産業への投資だ。
フィンランドにはテケス(フィンランド技術庁)が、産官協力していけるように総予算600億円を使い、民間プロジェクトの15%~50%の資金を援助する。しかも職員350人は民間人から集められた精鋭たちであり、ひとつのロビーで各職員はそれぞれの情報を交換し合う。
これによって最新の情報を共有することができる。そして投資案件は常に民間と国に厳しい評価が下されるので、効率が良い投資が多く行われる。日本にも産官の協力体制があるが、違いは周りのこの厳しい評価にある。このような制度があるから汚職も少ないのだろう。
これらの投資は大学の研究プロジェクトにも充てられるという。研究費が多く必要な大学生にとってはありがたい制度だ。

次に、教育制度の無料化だ。
フィンランドではなんと教育制度が無料である。すごい。これはすごい。なんと大学まで無料なのだ。しかも月々6万円も生活支援で支給されるのだ。試験を通れば大学を入ることができる。ここまで教育制度が整っていれば教育水準が飛躍的に向上することは間違いない。OECDの学習到達度ランキングでは2006年までに過去3回1位を取得しているのがなによりの証拠だ。
携帯電話業界でフィンランド企業NOKIAを世界第1位にしたCEOはなんと修士号を3つももっていた。
高校では放課後それぞれ予定があるので休み時間で多くの生徒がお互い教え合って宿題をしていた。日本ではなかなか見られない光景だ。教師も全員修士号を持っている。学習塾もないのに学習力世界1位を誇る秘訣は、すべての人々が平等の教育を受けることができる制度にある。

日本にもこのような制度があればかつてのように競争力を高めることができるのではないか。しかし、日本は今の時点でこの制度を取り入れようとしても無理だろう。先ほども述べたが、その一番の原因は政治不信だ。政治家や官僚に関する悪いニュースは後を絶たない。この状況を打開しなければ高負担高福祉社会の実現は不可能だろう。

しかし、忘れてはならないことは、それらの政治家を選んでいるのは我々だということである。

サンデープロジェクト