2010年3月30日火曜日

レビュー『どんな人にも大切な「売る力」ノート』 津田 晃




最近、これまでになくビジネス書を読みまくっている自分。
これから社会に出る自分にとって、直接結びつくことがぎっしり詰まったビジネス書は読み応えがある。

この本はその中でもお気に入りの一冊。


著者は最少年で役員に就いた元証券マン。
自分が将来行う仕事に、まさに直結する内容である。

様々な困難や喜び、そして工夫や思考を様々なエピソードを交えて77本の教えが書かれている。
文中には様々な格言も紹介され、とても勉強になった。

一例として「超一流のプロ社員とはどんな人?」という節にて紹介されている格言。

三流の人は、人の話を聞かない。
二流の人は、人の話を聞く。
一流の人は、人の話を聞いて実行する。
超一流の人は、人の話を聞いて工夫する。

是非とも超一流を目指していきたい。

2010年3月29日月曜日

日本の空港と世界の空港

世界中を旅していた時多くの空港を乗り継いだが、その時印象的だったのが、UAEのドバイ国際空港とシンガポールのチャンギ空港である。

ドバイ国際空港では、黄金の椰子の木が立つ豪華な免税店街がお出迎え。無線LANが無料で使用できたのが嬉しい。依頼すれば有料で広い空港内を案内し、荷物を運んでくれるサービスも心強い(貧乏旅行者の自分がこのサービスを利用することはなかったが…)。また、エミレーツ航空でドバイ乗継の場合、無料でビュッフェを楽しむ事もできた。
市内へのアクセスは去年の秋に一部開通した「ドバイ・メトロ」や、バスが充実してアクセスしやすかった。


チャンギ空港はドバイ国際空港の上を行く。ターミナルは最近できたのかとても新しく、デザイン性に富んでいた。空港を歩いていて飽きることはない。無料で使えるインターネットPCはいたるところに設置。東南アジアのハブ空港を目指し、日本の顧客を意識して、標識やアナウンスには日本語も使用されている。広い空港をうまく回ることができるよう、空港はコの字型になり、無料のモノレールが各ターミナルを結ぶ。もちろん免税店やレストランも充実していた。待ち時間を忘れてしまう程の快適さである。


共に地域のハブ空港を目指して戦略的に建設された空港。チャンギ空港は様々な空港ランキングで上位5位以内にはランクインされ、英スカイトラックス社によるワールド・エアポート・アワード2010では世界第1位に選ばれている程。


そんな中、日本の空港はどうか。

日本の玄関口である成田空港。「Power Up Narita」をキャッチコピーに、発着枠の拡大、高速鉄道による都内へのアクセス向上させる。

しかし、世界の空港と比べるとまだ見劣りする。インターネットは有料。しかも全てのターミナルで使えるわけではない。空港内にあるお店やレストランは昔とそう変わらず、魅力的なものが少ない。羽田空港の方が充実している。

今日3月29日に放送されたWBS(ワールド・ビジネス・サテライト)で、ゲスト出演したボストン・コンサルティング・グループ日本代表御立尚資が日本空港の問題点を3つ挙げていた。

1.ハブ空港の不在
2.首都圏の発着枠が少ない
3.格安航空会社がない

2.は今回の羽田・成田発着枠増加によって多少改善されるだろう。ただ、これでも需要に対して供給が足りず、需要超過の状態。更なる設備投資、もしくは不採算路線の整理等を行い、発着枠を増やしていく努力が必要だ。

1.日本にはハブ空港といえる空港はあるだろうか。「韓国の仁川空港が日本のハブ空港だ」。こんな話を良く聞く。仁川空港から日本に飛ぶ路線は約20。地方から国際線へ乗り継ぐ時は仁川空港を利用した方が乗継時間も少なく、運賃が安い場合があるのだとか。地方から羽田へ行き、成田まで行って海外へ行く手間を考えたら当然の選択肢であろう。
羽田と成田をうまく使い分け、日本のハブ空港を育てていくことが必要だ。

3.日本にはまだ格安航空空会社が充実していない。国内の主要都市には就航しているが、海外へはオーストラリア、香港、フィリピン、韓国、マカオぐらいであろう。欧州ではくまなく各国へ格安航空会社が就航しているのと比べると、充実しているとは言い難い。


空港が充実し、飛行機の往来が増やすことは日本経済に大きなプラスとなる。飛行機の乗り継ぎついでに日本を観光する観光客が増えることによる観光産業への期待。観光による日本の国際的理解の深化。利便性を考慮した、国内外企業のビジネス拠点の設置増。プラス要因は多い。

前原国土交通大臣は羽田のハブ化に言及し、一時話題となった。是非とも実行してほしい。

景気指標から「今の経済を読む」 第1回(2010.3.W4)

今週から始める『景気指標から「今の経済を読む」』。



小宮一慶著『日経新聞の数字がわかる本』
週刊東洋経済2010年3月20日号『データが読めれば経済がわかる!』

を読んで、経済データを読むだけで景気の大枠をつかむことができることを知り、早速経済分析を始めてみました。

毎週月曜日に日経に掲載される「景気指標」を読み、経済を読み解いていこうと思います。毎週月曜日更新目指します。

自分の勉強用なので拙い部分が多いだろうと思います。注意して読んでください。

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「経済全般的に回復基調。しかし、デフレと資源高は大きな悪材料。雇用情勢は依然低水準に不安。」

日本内需の大きな回復よりも海外外需に依存する日本経済。製造業、サービス業共に業績は回復傾向にあるが、輸出が大きく伸びていることからわかるように外需の影響が大きい。残業が増えるだけで、新たな雇用には結びついておらず、内需の拡大も見込めない。外需を引っ張る製造業はデフレと資源高に見舞われ、先行きは不透明である。外需に頼る今の経済は長期的に回復傾向にあるとは言い難い。


先週の主な景気指標
2月通関ベース貿易収支(財務省)
2月企業向けサービス価格指数(日銀)
2月全国消費者物価指数(総務省)
3月東京都区部消費者物価指数(総務省)

※赤字は今週の景気指標で変更した箇所


景気全般:足元では全体的に景気回復の兆候が見られる。
 景気動向指数(CI)(2010.1)の一致指数は100.1と、前月97.4を上回り100を超えて景気が拡張局面にあることを示している。


製造業:生産も回復に向かうが、まだ不安が残る。
 新興国の輸入、政府によるエコポイントやエコカー減税などによって製造業全般の生産高は回復基調。鉱工業生産指数(2010.1)は92.1と、前月比2.7%の増加。
 だが、まだ完全回復したとはいえず、不安が残る。製品在庫指数(2010.1)は109.0と前月の107.8より縮小傾向にあるが、依然在庫超過の状態。在庫が減らないので製造工業稼働率指数(2010.1)も87.6と前月の84.3から上回る水準であるが、工場をフルに使う程景気は回復していない。これは設備投資の増加につながっておらず、設備投資の先行きを占う機械受注2010.1)も幅は徐々に縮小傾向にあるもの、前年比-1.1と、未だマイナス水準である。

在庫がなくなり、稼働率が上昇して設備投資が増加しなければ、本格的な景気回復とはいえない。製造業には次節で説明する物価の問題、「デフレと資源高」の問題にも直面する。


物価:デフレと再び巻き起こる資源高
国内では2008年度より消費者物価指数が下落し、デフレが続いている。消費者物価指数(2010.2)は99.2と、前月の99.2と横ばい。ただ、前年比では-1.2とデフレが縮小する兆候はない。反面、輸入物価指数(2010.2)は前月比-0.6だが、前年比では8.0増と上昇傾向に。中でも石油・石炭・天然ガスは前年比22.9、前月比0.5の大幅増。金属・同製品は前月比では-2.4と縮小しているもの、前年比7.3と大きく増加している。

ブラジル鉄鋼最大手ヴァーレが価格決定方式を変更し、中国の強い需要を背景に鉄鋼価格を114%上昇させると発表する(ロイター)など、再び資源高の兆候がみられる。しかし、日本は今デフレの最中。原料価格の下落を製品価格に転嫁しずらい状況が続く。

製造業は徐々に生産を増やし、回復傾向にあったが、まだ新たな設備投資につながっているほどではない。また、デフレと資源高が続くこの局面では、当分の間業績の急回復は望めず、逆に再び失速する恐れがある。

ヴァーレが新方式によって鉄鉱石価格を上げるのは4月。鉄鉱価格は鉄鋼業界はもちろん、自動車産業や電気機器など多岐に影響を及ぼす。二番底の危機は間近に迫っているようだ。


自動車産業:エコカー減税の効果は今のところ・・・
新車販売台数(2010.2)は45.8万台と、前月の36.7万台を上回り、徐々に回復傾向。リーマンショック(2007)の1か月平均44.3万台を超えた。エコカー減税の効果が大きいことがわかる。エコカー減税は2012年3月まで適用されるので、当分の間、自動車業界は政策の恩恵を受けることができるだろう。

第三次産業:サービス産業は大きく回復。
第3次産業活動指数(2010.1)は98.7と、22年ぶりの大幅上昇(ロイター)となった。指数に組み込まれる13業種のうち、卸売、小売業が5.2増と大幅に増加。減少したのは3業種で、金融・保険業が1.1減。
ただ、依然サブプライム・ショック(2007)時の103以下。更なる成長の余地がありそうだ。


貿易:3か月連続で前年比2ケタ増
通関ベース貿易収支(2010.2)では、前年比45.3%増、貿易黒字は前年比でなんと818.8%も回復した。国内の需要が減る中で、海外の需要によって経済が回復する流れが鮮明になっている。
主に回復した製品が、自動車で105%増。自動車部品は121.7%増で、半導体も69.1%増加している。主な輸出先はアメリカ、中国を含むアジア諸国。特に中国への輸出は前年比79.9%増加し、米国の24.2%を大きく上回る上昇だ。これからも中国は日本最大の輸出相手国として大きな存在となっていきそうだ。


雇用:雇用は横ばい。製造業、第三次産業などは回復傾向にあるが、持続するか不透明。よって雇用の回復は当分見込み辛い。
所定外労働時間※全産業(2010.1)は前年比4.4%増と、前月-3.2%と比べて増加傾向にある。残業は業績によって一番先に増減する部門なので、足元の業績回復を表しているようだ。しかし、長期的には依然不透明な部分が多い状況の中、有効求人倍率(2010.1)は0.46倍で前月0.43倍と悪化、完全失業率は4.9%で前月5.2%と若干回復したが、未だ低水準が続く。現金給与(2010.1)も前年比-0.2、前月-5.9%。

雇用が本格的に回復しない限り、国内需要は増加し辛い。デフレが続き、業績が縮小、賃金が悪化し雇用も伸びない。日本経済はまさに「デフレスパイラル」の最中にあるといえそうだ。

2010年3月18日木曜日

日本の若者と未来

学力低下の現状に思う――キャスター草野仁氏(あすへの話題)
2010/03/18 日本経済新聞 夕刊 1ページ 659文字その他の書誌情報を表示

 日本の子供たちの学力低下が指摘されるようになって久しい。かつてはアジアでは基礎科目についてはほぼナンバーワンだったのに、近年は科目によっては首位の座から滑り落ちて2位どころかもっと下にランクされるケースもある。中国やインド、韓国など国家を挙げて教育に力を入れる国が増えているのだからいつも日本がトップというのは難しいにしても、もう少し良い成績を収めてほしいと思う。
 教育現場にいる人たちに聞くと、日本人全体の学力が昔より落ちてきていることは間違いないという。理工系の学生を採用している有名企業の人事担当者からこんな話を聞いた。昔は四年制大学の卒業生なら、そのまま現場で仕事に就くことができたものだが、今では様々な分野の補習授業を徹底して受けさせ、さらに入念なガイダンスを施したうえでないと仕事に就かせることができない。つまり今や大学院修士課程を修了した人でないと、昔の大卒に匹敵する力量を持ち合わせていないという。採用した学生が即戦力にならないのは企業として辛いらしい。
 終戦直後に育った私たちの世代は「日本は資源小国なので、国民一人ひとりが頑張って自分の能力を最大限に開花させるように努めよう」と教えられ、それに忠実に従ってやってきた。日本の経済的発展もそういう日本人の志の高さに支えられてきたといっていい。
 ほどほどにやって食べていければいいという考えからは、新しい何かを産出するエネルギーは生まれてこないだろう。我々は今もう一度原点に立ち返って、謙虚に自らの進むべき道を見いださなくてはならないと思うのである。


自分は草野さんの意見に賛成である。
「ほどほどにやって食べていければいい。」
自分の周りには全員ではないが、こんな人々が多い。

「なにそんなに頑張ってるの?」
こんなことをたまに言われる。クールに生きることばかり考え、あからさまに一生懸命になることを嫌う。

自分を含めた現在の若者は、戦後間もない頃のように発展途上国である日本でなく、世界で2番目に大きな経済規模を持つ豊かな日本で育った。そこまで苦労せずとも、世界から見れば多くの人々が十分豊かな暮らしができた。

このままで良いのだろうか。日本の未来を背負う現代の若者。まずは自分が頑張らなくてはいけないと思うところだが、ごく少数がこんな風に思っても日本の未来は大きく変わらない。

「もうすぐ日本を超える。まだまだ経済格差は大きいが、次の時代は中国だ。」
自分が旅先で出会った中国人が言う。
この言葉に「自分達も負けていられない!」と思う若者は、日本にどれだけいるのだろうか。

日本は今深刻な病にかかろうとしている。
まだ治療は可能だ。手遅れにならぬ前に、気付くべきだろう。

2010年3月10日水曜日

嘘付きと正直者 ~CDS規制案について~

国債リスク取引の金融派生商品、国際規制論が浮上、米も理解示す、来月G20で議論も
2010/03/10 日本経済新聞 朝刊 9ページ より
 【ワシントン=御調昌邦】各国の国債がデフォルト(債務不履行)を起こすリスクを取引するデリバティブ(金融派生商品)を国際的に規制すべきだという議論が浮上、先進国と主要新興国が一堂に会する4月の20カ国・地域(G20)会議で議題となる可能性が出てきた。同取引を引き金にギリシャの財政悪化が深刻化したとの見方から、欧州を中心に取引の透明化を狙った決済機関の創設など規制を求める声が表面化し、米国も問題意識を強め始めている。
 ギリシャをはじめ、欧州各国が規制導入を求めているのは「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)」と呼ばれる取引だ。訪米中のパパンドレウ・ギリシャ首相は8日、ワシントンで講演し「空売りやCDSには明確な規則が必要だ」と指摘。ヘッジファンドなどによる市場の憶測などを利用した取引を規制すべきだと主張し、理解を訴えた。


市場は投機的な面が強く、過剰に反応してしまうことがある。バブルがその典型であろう。
だが、市場は過剰に反応するだけではない。取引対象となる有価証券の現状や将来性を「価格」という形で客観的に表すことができる。
G20における、ギリシャの財政不安から生まれたこのCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)規制論議は、CDSの投機性に大きく国の財政事情を左右される恐れがあるためだ。
だが、そもそもの発端は何なのか。ギリシャが嘘の債務残高を公表していたこと、そして適格な手段を取ることなく、深刻な財政不安に陥っていることではないのだろうか。
CDSを無暗に規制すれば、逆に各国の財政事情の不透明さが高まるのではないか。
各国は市場と真剣に向き合うことも必要だ。市場は正直なのだから。