嘘付きと正直者 ~CDS規制案について~
国債リスク取引の金融派生商品、国際規制論が浮上、米も理解示す、来月G20で議論も
2010/03/10 日本経済新聞 朝刊 9ページ より
【ワシントン=御調昌邦】各国の国債がデフォルト(債務不履行)を起こすリスクを取引するデリバティブ(金融派生商品)を国際的に規制すべきだという議論が浮上、先進国と主要新興国が一堂に会する4月の20カ国・地域(G20)会議で議題となる可能性が出てきた。同取引を引き金にギリシャの財政悪化が深刻化したとの見方から、欧州を中心に取引の透明化を狙った決済機関の創設など規制を求める声が表面化し、米国も問題意識を強め始めている。
ギリシャをはじめ、欧州各国が規制導入を求めているのは「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)」と呼ばれる取引だ。訪米中のパパンドレウ・ギリシャ首相は8日、ワシントンで講演し「空売りやCDSには明確な規則が必要だ」と指摘。ヘッジファンドなどによる市場の憶測などを利用した取引を規制すべきだと主張し、理解を訴えた。
市場は投機的な面が強く、過剰に反応してしまうことがある。バブルがその典型であろう。
だが、市場は過剰に反応するだけではない。取引対象となる有価証券の現状や将来性を「価格」という形で客観的に表すことができる。
G20における、ギリシャの財政不安から生まれたこのCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)規制論議は、CDSの投機性に大きく国の財政事情を左右される恐れがあるためだ。
だが、そもそもの発端は何なのか。ギリシャが嘘の債務残高を公表していたこと、そして適格な手段を取ることなく、深刻な財政不安に陥っていることではないのだろうか。
CDSを無暗に規制すれば、逆に各国の財政事情の不透明さが高まるのではないか。
各国は市場と真剣に向き合うことも必要だ。市場は正直なのだから。
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