石井光太は世界中の貧困層や障害者、病人などをテーマに様々なことを訴えかけるノンフィクション作家。
このような本を読み、世界の貧困状況を知ると、自分の持つ悩みなどいかに小さいものかどうかがわかる。仕事は大変だといっても、私はとても幸せなのだ。
今回この石井光太のトークショーに行く機会があったのでどんな会話があったのか記してみたい。
講演
出演者 石井光太 近藤雄生、松岡絵里etc
http://kotaism.livedoor.biz/archives/2010-09.html#20100930
近藤雄生
作家
「旅自体を生活にしたい。旅と短期間の非日常生活だから、それを生活の一部にするとどうなるんだろう」と、夫婦で旅に出た。
250万円用意して出発。ユーラシア大陸を横断したのに、それで100万円残して帰ってきた。
タイの残留日本人兵
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近藤さん「タイの在留日本兵に出会いました。在留日本人兵は今でも数百人~数千人います。私が訪れた村には4人ぐらいの在留日本兵がいました。中野さんという方に直接会ったのですが、全身タトゥーが入っている方で、強く印象が残っています。」
「実は6年くらいビルマと~の国境では今でも紛争が起きています。そこには昔日本の残留兵が紛争に参加していたりするみたいです。」
「旧日本兵はなぜ海外で留まっているのかというと、日本に帰れば戦犯で捕まってしまうからです。一方、現地にいても今まで国を攻撃した日本兵を受け入れられるはずがありません。旧日本兵は八方ふさがり、現地に溶け込むのは非常に難しい。それで彼らがしていたのが、地元の人々にか。日本兵の戦犯の話しをするというものでした。密告さらた日本人にとっては悪いのですが、そのようにして信頼を勝ち取るしかなかったのです。」
石井さん「実は私も先ほどお伺いしたその方と会おうとした。しかし、その方は逃げてしまうのだ。」
差別の中で生きていくことはすごいことである。過去の経験の辛さを思い出したくないため、突っ込んだインタビューをすると、時には沈黙するんです。その傷の深さが伺えます。」
おかま文化
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石井さん「イスラムのおかまは多い。結婚するまで性交渉は禁止さているから男に手を出したりする。」
「アフリカ人はマッチョが多い。アフリカでは男っぽいのが尊重されるので、おかまは非難の対象になりやすいです。しかもおかまは欧州の文化。アフリカは欧米にコンプレックスを持っているので、非常に非難されやすい立場にあるます。なので、アフリカのおかまは、『おかま難民』として東南アジアへ逃げるのです。東南アジアはおかまのフリーダムで英語も通じます。最近徐々におかま難民は増えているようです。ただ、アフリカの人々はマッチョなのでおかまには向いてません。だからあまりもてないのです。マイノリティーとなった黒人のおかまはマレーシアに集まる場所を作ります。そしてその強靭な肉体を利用し、暴力に走ります。黒人おかま窃盗団は有名です。」
「また、戦争でゲイに目覚める人はよくいるそうです。女も近くにおらず、楽しみといったら食事くらいなのでそうなってしまうのです。」
近藤さん「石井さんはゲイにもてるんですか?」
石井さん「ゲイにもてるみたいです(笑)。」
近藤さん「私の友達でゲイっぽい人がいるんです。それで、彼と彼の子供、私が3人でカフェにいるとき、周りから変な視線を感じました(笑)。」
近藤さんのオーストラリア旅行
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近藤さん「オーストラリアで旅をするとき、7万円でバンを購入。バンの中ですべて生活していた。ベットもあり、アイスボックスもあり、ガスコンロ等もあったので不自由はありませんでした。」
石井さん「奥さんとのセックスもそこでやるの?」
近藤さん「……あまり回数はありませんでしたが、バンの中です。」
石井さん「僕の場合、旅をするときは基本的に一人なんだよね。女の子が一緒にいる人を見ると嫉妬する(笑)。」
近藤さん「ものすごく安いバンでしたからね。毎日メンテナンスしていました。300km走るとタイヤのチェック、オイルの交換などをしていました。しかし7万円でバンを買ったんですが、12万円で売ることができたんですよ。その資金で東南アジアへ行きました。」
オーストラリア内の独立国家
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石井さん「ディープな人はいた?」
近藤さん「面白いおじいさんがいました。経済や土地などの関係で、所属する国家と対立などがあれば独立できるという制度があるようなんです。その方は法律に明るい方。なんとオーストラリア国内で独立宣言をし、オーストラリアに通告したようです。その国の名は「ハットリーバー公国」というそうです。」
「オーストラリアは当然のように無視したようですが、国際法の慣習上、独立宣言を2年間放置すると自動的にその独立国家を認めることになるようなんですね。後々オーストラリア国家と裁判沙汰になったようですが、おじさんは優位な展開を繰り広げたようです。」
「パルポートもあり、税関の判子もあります。その判子をパスポートに押すと、税関で『パスポートに落書きしないで下さい。』と言われるようです(笑)。」
「国民は30人程いるようです。そして驚いたことに5カ国ぐらいこの『ハットリーバー公国』のパスポートで行くことができたようです。国家と認めているのか、それともよくわからないから通しただけなのか定かではありません。」
「軍隊もいます。しかも、『戦争をすると国の地位があがるから戦争をしよう。』といって一日戦争をオーストラリアに通告したようです。しかし一日で撤回しました。」
石井さん「確かにアフリカでは戦争を使ってナショナリズムを向上させ、愛国心を養っているみたいですね。」
近藤さん「そうですね。そして、この国はひとつの観光名所となっているようです。将来は大学や病院にいこうと思っているようですが、メドはたっていません。」「国にある家はものすごく素朴です。奥様が皇后、ご主人が王様です。しかし、家からはいつもこんな声が聞こえます。
『おじいちゃん、目玉焼きできたわよ。』
『わかったよ。いまいくね』
そのギャップにいつも驚かされています。」
犠牲者ツアー
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石井さん「ケニアで選挙の暴動があった時がありました。このような事件を取材をするのは危険が付きまといます。そこで、記者は犠牲者の写真を撮るため、『犠牲者ツアー』なるものに参加します。車で犠牲者がいるところに案内されるのです。
「しかしここでの犠牲者とは、マフィアがボコボコにしたストリートチルドレン達です。自分の仲間をぼこぼこにして、記者たちに『これは政府にやられたんだ。ひどいだろう。』と言って記者に写真を撮らせます。」
「ツアーには10万円ほどかかります。記者は安全を保ちたいのでお金を支払います。また、犠牲者一人一人に料金を課すシステムを取るところもあります。」
近藤さん「具体的においくら程かかるんですか?」
石井さん「ツアー参加は5~20万円、写真一枚10、50、時には100ドルかかります。」
中国の反日デモ
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近藤さん「中国、反日デモがあった数年前。私は昆明で留学をしていました。周りでは大きなデモは起きていませんでしたが、反日のポスターがたくさん貼ってありました。」
「日本では反日デモが大きく取り上げられ、日系の企業などが痛めつけられている映像がよくテレビで流れていました。実際にそのようなデモが全国的に行われていないにもかかわらず大げさに取り上げます。しかし、それはメディアの責任ではありません。ニュートラルな立場にできるはずがないからです。事を大きくすることによって視聴者の目を向けるのです。」
刈上げ頭
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司会「頭を刈り上げた理由は何かあるんですか?」
石井さん「頭を刈られた理由?路上生活をしたりしていたのですが、頭を洗うのが大変なんです。だから頭も下半身も全部剃りました。現地では、頭も下半身も毛が生えていると、しらみがわくので剃るのは当然だそうです。」
近藤さん「彼女から何かいわれなかったんですか?」
石井さん「もちろん言われました。頭はともかく、下半身まで全て毛がないわけですからね(笑)。」
近藤さんの奥様
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近藤さん「妻はオーストラリアで留学していました。私がオーストラリアへ4,5日滞在したときに出会ったんです。付き合ってからは、毎日FAXしたり、1日おきに電話したり。バイト代を全てその費用に使っていたほどです。しかしさすがに彼女も毎日続くと嫌気がさしたようで、途中で拒否されるようになりました。そこで短期間でオーストラリアへ2、3度行き、妻を落としたのです。」
仕事のための浮気
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石井さん「仕事のためだったら浮気もしょうがないでしょう。」
「私は仕事に対してストイックだと思います。起きてから寝るまで全て仕事。仕事のためにならないことはしません。デートも時間は無駄です。プレゼントは全部図書券がいいと思っています(笑)。逆に仕事のためとならば浮気もしますよ。」
石井さん「仕事につながらなければ友達とも会いません。」
近藤さん「やっぱり石井さんと僕は真逆ですね。東京に行くと、友達ばかりと会っています。」
石井さん近藤さんへの質問
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Q。結婚をどう考えている?
石井さん「女の子には興味がある。いつかは結婚する。書くのにために役に立つならばの話しです。ただ、将来僕の子供を持ちたちので、いつかは結婚したいと思っています。
Q。「海外での性処理は?」
石井さん「エロ本を3冊持っていきます。途中で見飽きるとバンコクで追加購入します。」
「日本のエロ本はクオリティーが高いので、わいろに使うことができるんです。1ページ渡せば、お金よりも大いに役に立つのです。それほど日本のエロ本はクオリティーが高いんです。」
「現地の性文化を知ろうと、現地のエロビデオを購入したりします。しかしクオリティーは悪い。女性がポテトチップスを食べながら正常位でやっているシーンが映っているだけのパターンもあります(笑)。」「アフガニスタンのエロビデオ屋さんではは捕虜が殺されるビデオも販売されています。」
「また話しは変わりますが、アフリカでは虎を捕まえ、華僑がその睾丸を切り取り漢方を作るようです。多くの虎の睾丸がアフリカから中国へ渡っています。
近藤さん「金玉からグローバリゼーションですね(笑)」
Q。旅がしたくて世界へ行ったのですか?本が書きたくて世界へ行ったのですか?
石井さん「旅はきらい。何かを調べるためにしか海外へ行ったことがない。」
近藤さん「最初は調べるために海外へ行ったが、途中で旅自体がすきになった。奥さんも旅が好きなんです。」
Q。「国内では何かやっているのか?」
石井さん「自殺の実態について調べたことがあります。」
「生活保護で自殺する人は誕生日に自殺する人が多い。老人ホームで自殺する人は天皇陛下の誕生日で自殺する人が多いようです。」
「樹海に行って死体探しに行ったこともあります。樹海は5m進むと真っ暗になります。樹海で死体を捜すのが専門の人がいたのでその人にアドバイスを聞きました。その人いわく、『日が射すところを探しなさい』と。そのような場所へ実際に行くと、死体はなかったが、そこには自殺のあとがあったそうです。また、薬害エイズの人は首を切って自殺する。なぜなら血が止まらないからです。自殺する人は自分の原体験をもとに自殺をする傾向にあります。」
近藤さん「イルカの問題について調査しました。欧米人とよく議論する機会があるのですが、イルカについての最大の関心ごとはその持続可能性。」「タイジ町のイルカ捕獲について。クジラと良く比べられます。欧米人はイルカは知能があるから捕獲するのはダメだというようです。私はその理由について納得しません。」
松岡絵里
プロフィール
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作家
同じく作家吉田友和と共に世界を旅する。
海外のおもちゃ屋さん
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松岡さん「大連、大人のおもちゃ屋が多いんですよ。そして日本語表記が多いです。バイアグラがベイエグラと書いてあったりとかするんですよ(笑)。」
石井さん「そういえば日本のエロビデオは中国で衛星放送として流れていますよね。」
松岡さん「欧米には空港にAVショップがあります。中国にもありますよ。免税で売っています。しかし、税関でエロ本を止められたことはないのですか?」
石井さん「3冊あるうち、1冊税関に渡してわいろとするんですよ(笑)。」
「ホテルでエロ本読んだ跡片付けていなくて。一度掃除のおばちゃんに見つかったときがありました。おばちゃんの口から走り、ホテル中で大騒ぎになったとか。日本のエロ本は内容がやっぱり過激なんです。そしてその騒動、エロ本を従業員に見せることで解決したよ。しかも割引してもらった。」
女性に襲われたこと
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松岡さん「一人で海外にでる女性はよく男に襲われる話しを聞きますが、石井さんは女に襲われたことはあるんですか?」
石井さん「ありますよ。(実際にホームレスを体験するため)路上で生活していたときのことです。路上の女性達は生きるか死ぬかです。男を捕まえて豊かな生活を送ることを夢見ています。」
近藤さん「実体験はあるんですよね(笑)?」
石井さん「仕事上では・・・(笑)。しかし最近はありません。大学生の時は好奇心でありました。実際やらないほうがいい話しが聞ける時があります。」
「こんな体験もあります。取材のために、風俗店で働いているときがありました。そしてそこで恋愛関係になったことがありますよ。」
松岡さん「分かれるときになにか悲しくなったりするんですか?」
石井さん「泣かれたりするからね。でも取材しなきゃいけないから次に行く。ストーカーされたりするケースもありますが。」
松岡さん「近藤さんはどうなのですか?」
近藤さん「松岡さんこそは?うわきとかあるんですか?」
松岡さん「24時間一緒なのでそれは無理です。しかし日本人女性はもてます。なので海外に行くときもちがいいんですよ。」
石井さん「HIVの取材をする時の話です。HIV感染者は若い人が多い。女性の場合、HIVのことをだんなに言わないこともあります。話ができるのは取材をしている自分だけ。だから仲良くなると、相手から過剰に反応してくるときがありますよ。」
宗教と性
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松岡さん「宗教と性の関係は大きい。男性器が祭られているところを良く見かけました。ギリシャでも、アジアでも、日本でもそういうところはありますよね。」
石井さん「宗教と恋愛は似ています。宗教はすがりつきたい。そしてその心地よさがある。そして恋愛も疲れているときに女にすがりたいときがある、そして心地よい。すがりたい、依存したい、その気持ちは宗教も恋愛も同じだと思います。」
近藤さん「様々なものはある種共通点があるもの。性の問題は一番根源的なものですが、私は一番表現しづらいです。本を書く上でどのようにすればよいかいつも迷います。」
世界の美人
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松岡さん「一番きれいな人々がいた国はどこですか?」
近藤さん「トルコやイランですね。グルジアにはたくさんの美人がいると聞きましたが、別にそうでもありませんでした。ただ、グルジアは白人の発祥の地。それに関連して美人という観念があるのではないでしょうか。純粋な白人だからです。でも実際はそんなことはない。アジアの要素が少し入ったほうがきれいだと思います。」
擬似結婚
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石井さん「最近は貧乏な女性が海外の男性と結婚するパターンがあるんですよ。30万円が相場みたいです。最近外人の方が金持ちが多いのが理由でしょう。」
「しかし、しばらくはやっぱり一緒に暮らさなけばなりません。なので日本の女性は相手を多少選びます。」
「擬似結婚なので恋愛感情はありません。しかし一緒に暮らしていると恋愛感情もっちゃうものです。契約期間を超えれば離婚ですが、恋愛感情が本当に沸いてくる時が多いようです。」
世界の娼婦
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松岡さん「娼婦で変わった国はありましたか?」
石井さん「売春の形態は国によって全く違います。アフガニスタンでは写真アルバムを持つ人間が売春婦。アフガンでは顔を隠しているからです。アルバムに自分の写真があり、それで自分を売るんです。」
「女性の下着売り場の主人が売春の案内人だったりするところもあります。夫が入ってこないお店だからばれにくいのが理由です。」
ラブホテルの歴史
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近藤さん「よく外国人が安宿と間違えてラブホテルに泊まることがありますよね。外国人は日本の派手なラブホテルを見てびっくりしているようです。」
石井さん「ラブホテルは、実はオリックスと在日韓国人がつくったんですよ。宮内社長が在日韓国人に不動産を提供して、つくらせたのが始まりと聞きます。ラブホテルには言葉が必要ないからでしょう。」
松岡さん「近藤さん、海外でそういうとこにいったことは?」
近藤さん「いったところが結局つれこみやどだったというところはありますよ(笑)。」
石井さん「戦後はラブホテルがありませんでした。だから昔は路上で売春をやっていたみたいですよ。売春が多い通りでは、通行人はわかっているのでそれを無視して歩いていくようです。」
世界のセックスアピールポイント
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松岡さん「ポーランドはおしりを強調するようです。国によってセックスアピールは違いますよね。」
石井さん「そうですね。日本はおっぱいが一番じゃないですか。世界的にはおっぱいとおしりが多いのでしょうか。」
松岡さん「かわったセックスアピールをする国はあるんですかね?」
石井・近藤「知りません(笑)。」
松岡さん「それじゃあ、こんどのテーマはそれですね(笑)。」
各作家の今後の予定
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近藤さん「今後の予定がないところが今後の予定・・。ただ、今度あるのが湘南の風のメンバーが幼馴染なので彼に関する記事を書く予定です。もうひとつが、東南アジアから中国、そしてそこからヨーロッパに行きアフリカへ旅をする計画があります。そしてその後カフェを開きたいと思っています。」
石井さん「どんなカフェがいいんですか?」
近藤さん「ちいさなカフェです。京都に開きたい。人の繋がりをつくっていけるようなカフェがほしいですね。地元の人が定期的にきてくれるようなところがいいです。日本ってそんなところ最近すくないですからね。妻は全く同意していないんですが(笑)。」
松岡さん「今度PHPから世界一周のガイド本を作る予定です。そしてその後写真集を出版します。そして今出したばかりの『世界の中の一部』という本をシリーズ化する予定です。」
石井さん「11月の末に、日本にいるhiv患者について書いたルポを出す予定です。そして来年は貧困者の長編を書きたい。新書などもどんどん書きたいと考えています。」