グーグル「おサイフケータイ」で攻勢 日本の牙城に風穴も
新携帯OS投入へ
- 2010/11/21 17:42
- 日本経済新聞 電子版
【シリコンバレー=岡田信行】米IT(情報技術)大手グーグルは近く発表する携帯電話用の基本ソフト(OS)で、決済機能を持つ非接触ICチップに対応することを明らかにした。携帯決済は「おサイフケータイ」として日本勢が切り開いてきた分野。先行メリットを生かして世界に打って出る足がかりとするか、技術的な優位性を失い海外メーカーの攻勢にさらされるか。日の丸ケータイは正念場を迎えつつある。
サンフランシスコ市内で15日開かれたイベント。グーグルのエリック・シュミット最高経営責任者(CEO)は携帯OS「アンドロイド」の次期バージョン「ジンジャーブレッド(開発コード)」を搭載した新型機を手にしながら、携帯が今後どう変わるか力説した。
ジンジャーブレッドは「数週間以内に出す」としており、来年には新OSを搭載したスマートフォン(高機能携帯電話)が登場するとみられる。
「クレジットカードがなくても、携帯の『タッグ&ペイ』(タッチで支払い)で買い物ができる」「位置情報に連動した情報提供サービスができる」。シュミット氏が語る“近未来の話”は、日本では日常生活でおなじみの話ばかりだった。
日本の 既存の携帯 | アンドロイ ド対応スマ ートフォン | iPhone (アイフォーン) | |
PCとの連携 | △ | ○ | ○ |
赤外線通信機能 | ○ | △ | × |
ワンセグ視聴 | ○ | △ | △ |
携帯マネー機能 | ○ | △→○ | × |
(注)○=優れる、△=やや劣る、一部で対応、×=悪い、使えない
IT情報サイトでは、新型機は「韓国サムスン電子ではないか?」といううわさ話が流れた。もし、真実であればソニーが規格作りにかかわり、日本の携帯電話メーカーが先行してきた分野だけに衝撃は大きい。
日本メーカーは現在、スマートフォンに独自機能で「おサイフケータイ」を搭載するなどして国内市場で優位を保っている。だが、NFC対応を契機に機能が同等でより使い勝手のよいスマートフォンが世界に普及したらこの構図が崩れるからだ。
一方、国内で「フェリカ」を使ったアプリケーションやサービスを手掛けてきた事業者は、互換性のあるNFC対応を進めることで、垣根を越えて、アプリやサービスを輸出できるだろう。
携帯決済の分野では5年以上先行したといわれる日本の携帯メーカー各社だが、世界の差は急速に縮みつつある。携帯決済で蓄積したノウハウで世界市場で勝ち抜くことを目指すのか、国内市場にしがみついて孤立を深めるか。日本メーカーは決断を迫られている。
おさいふケイタイはは日本が先行していた技術。この記事にあるように。5年も前から日本では普及しているものだ。グーグルCEOシュミット氏が描く未来の携帯電話。それは既に日本に存在する。
「え?携帯電話にメールアドレスがあるの?」
私が高校生の時に海外へ留学した時、同級生達は驚いた。まるでデジタルカメラ並の高機能カメラ、電子決済機能、電子メール。最近スマートフォンが流行しているが、元々日本にも「i mode」や「ez-web」といった携帯電話独自のネット技術が利用出来る「スマートフォン」が大量に流通し、利用されていた。海外から見れば、日本の携帯電話はらくらくフォン以外すべて「スマートフォン」である。
それでも、グーグルCEOシュミット氏は言う。
「これからの新しい携帯電話の姿はこれだ。」
それは日本企業が既に開発し、既に日本市場で成功を収めているものであるのにも関わらずだ。
しかしこれがなぜ日本企業が情報の発信源ではなく、すべて海外の企業に持っていかれるのだろうか。携帯電話もそうだ。太陽光発電もそうだ。半導体もそうだ。LEDテレビもそうだ。全部元々日本が先行していた技術。かつてトップシェアを握っていた技術ばかりだ。
それなのに、それを真似され、海外の企業がそれらを発進し、成功を収めている。
日本には文字通り世界の「未来」があるのだ。世界がそこに辿りつくのを待ってはいけない。日本がその「未来」へ世界を導いていかなければならないのである。
「ガラパゴス」は、決して憂べき事ではないのである。日本のガラパゴス化は、日本の大きなチャンスなのだ。
「他と同じことをやっていては勝てない。」
日本は、すでにその必要条件を満たしている。あとは実行するだけだ。
0 件のコメント:
コメントを投稿