「みんな賛成しているけど実行できない」
今の日本はこんな矛盾を抱えている。
日本のほとんどの政治家はやりたいのにできないことがある。
それは、世界で起きている金融危機への経済対策だ。
米グリーンスパン元FRB議長のいう「100年に1度の金融危機」。
世界は素早く大規模な経済対策を行ってきた。
アメリカはFRBがなんとゼロ金利と量的緩和政策を実施。
次期オバマ大統領は総額1900億ドルの経済対策を公約している。
経済官僚の人選もこれまでにないスピードで行われ、その真剣さが伝わってくる。
しかし日本はどうだ?
経済対策を実行するための「第二次補正予算」。
麻生総理は当初年内に成立させると発言していたが、なんと来年にこの法案を提案することになった。
今期出したら野党に否決され廃案になってしまう恐れが大きいからだ。今国会は残りの会期が少なかったので、参議院が継続審議中でも否決とみなす「60日ルール」が使えない。強引に法案を通すことができないのだ。
これに対抗して野党は雇用対策法案を衆院に提出したが、否決された。
内容は与党案とほぼ同じ。しかし、「定額給付金」がないから否決だ。
逆にいうと定額給付金以外は与野党賛成なのだ。
今日のテレビ朝日「サンデープロジェクト」で出演した自民・公明・民主・社民・共産・国民新のすべての議員が、定額給付金を除いて与野党の提出する雇用経済対策に賛成している。
じゃあ「定額給付金」を切り離してあとで審議し、他を先に決めてしまえば良い。野党はそう主張する。しかし何回も強引に可決する「60日ルール」を使いたくないから一緒に法案を提出したい与党は折れる様子もない。
与野党が大部分に賛成している雇用経済対策。しかし「定額給付金」のおかげで実行できない。
リストラされたり、会社が倒産されたり・・・・・今でも路頭に迷う人がたくさんいるというのに。
この人たちは満足した生活ができないまま待てというのだろうか。
そもそも「定額給付金」の効果は薄いという意見が多い。
経済学者ミルトン・フリードマンの提唱する「合理的期待仮説」では、人々は一時的に所得が上がっても長期的に所得が上がらなければその所得上昇分は消費ではなく貯蓄に回すと主張する。経済学の基本だ。
同じような政策であった「地域振興券」もあまり効果がなかったというのに与党はなぜまたやりたがるのか理解に苦しむ。その資金をもっと長期的な視野を持って活用すべきだろう。野党から切り離して議論しろといわれるのは当然だ。
「60日ルール」を活用し、与党が第二次補正予算を可決して雇用経済政策を実現するには最速でも3月になる。
世界はもう経済対策をやっている。
多くの人が今も苦しんでいる。
今こそプライドを捨て、与野党仲良く政策を実行するときだ。
1月から始まる国会では「定額給付金」をまず切り離して審議し、他の雇用経済対策を早急に可決・実行すべきだ。
後悔してからでは遅い。
0 件のコメント:
コメントを投稿