2008年12月31日水曜日

規制と自由 ~新自由主義の崩壊~


金子勝慶応義塾大学教授が書いた『世界金融危機』という本を読んだ。
この本は非常に薄く、読みやすかった笑。

ほかの金融危機関連と違って面白かったのが

1.投資銀行などのノンバンクを「影の銀行」としている
2.環境政策と金融危機を結びつけている。
3.失敗した米国の「新自由主義」経済政策に追随した小泉改革を批判している

特に3は興味深い。

この本の著者金子勝は慶応の教授。この本で痛烈に批判されている竹中平蔵も慶応の教授。
さぞかし大学内で仲が悪いのだろう笑。

ここで述べられているのが、小泉・竹中路線で生まれた「金融立国」論についてだ。
「貯蓄から投資へ」という言葉の通り、小泉・竹中は規制緩和を断行し、金融の存在感を高めていった。
その結果、以前より金融のプレゼンスが上がっているのが今の現状だ。
しかし今は未曽有の金融危機。金融のプレゼンスを今上げるのはむしろ時代の流れに反する。
金子氏は、それでも構造改革がまだ足りないという竹中氏を痛烈に批判するのだ。

投資銀行などを代表とする「影の銀行」と呼ばれる金融機関を規制から野放しにした結果、今回のような大惨事になったのは周知の事実だ。

今回の金融危機は異常なほどのレバレッジが諸悪の根源だという人が多い。
規制のない中、利益を追求するあまり投資銀行はレバレッジを異常なほど引き上げた結果、多くの損失が発生した。

それじゃあ規制を作ればよいのではないか。
NHKの番組『地球特派員2008』という番組で、この金融危機の中注目を集めている投資銀行があると聞いた。
その名は「ライトハウス」。
この会社は元リーマンブラザーズなどの社員で設立された投資銀行である。
レバレッジを高くすることなく資金を運用している結果、健全な業務を遂行しているそうだ。
つまりこれはある程度、レバレッジなどの行き過ぎた金融工学を規制を規制すれば再び投資銀行は光を見ることができるようになるということを暗に示しているように感じる。
利益は以前ほど生まれないが、それより必要なのは安定性だ。

金融危機の根源は人間の欲望が原因だ。
しかし、人間の欲望は誰にだってある。
だからこそ、それを規制しなければならない。

しかし、逆に規制をしすぎても経済成長の足かせとなってしまう。
世界の金融当局はこの微妙な規制と自由のバランスをとるという難しい政策を求められている。

NHK『地球特派員2008』




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